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2011年2月 2日 (水)

ジェットコースタ事故に思う@安全

楽しいはずの遊園地で、ジェットコースターからの転落という悲しい事故がありました。2011年2月1日現在の報道で、安全バーが正しく降りていなかった事が事故原因との報道があります。私は遊具施設の安全の専門家ではありませんが、安全工学の一端を担う人間として、安全の国際常識である国際安全規格(ISO,IEC)と労働安全衛生法の立場から今回の事故からの教訓を考えてみます。なお、国際安全規格はWTO/TBT協定により国内規格(JIS)も整合することが求められている事に注意してください(日本国内の話だから国際安全規格は関係ないというのは間違い)。

1.安全構築の優先順位は守られていたのか?
 安全を構築するのは1)技術、2)組織、3)個人の注意(教育)の優先順位で構築されます。国際安全規格ISO 12100-1では2)と3)の間に優先順位はないとしていますが、労働安全衛生法では雇用主責任を求めていますから、この順番が日本国内での安全構築の順番となるでしょう。人間の信頼性は1/100-1/1000程度ですから、安全技術を優先する必要性は明確でしょう。また、組織と個人との関係の優先順位はそのリソースの大小を考えれば言うまでもないでしょう。

 装置のメーカーはState of the artの原則(最高の技術で安全を達成)とALARP(As Low As Resonably Practical)原則(経済的合理の下でリスクを最小化)に則り、合理的な最高の安全技術を用いて、なお残る残留リスクをユーザーに適切に伝える。ユーザーはメーカーから管理を委託された残留リスクを、自社のマネジメントで社会的に受容されるレベルに下げ「安全(残留リスクに受け入れられないリスクはない)」として装置の使用を開始する。装置の使用開始後は、メーカーから明示された保守点検情報をもとに、ユーザーは保守点検を実施し、また使用者が適切に使用しているか(やりにくい安全手順や使いにくい安全装置は無効化される)を監視する。ユーザーは事故情報、ヒヤリハット情報をメーカーにつたえ、事故再発・発生防止を技術的に解決するようメーカーに促す。今回の事故では、このようなメーカーとユーザーの関係が成り立っていたのか、疑問に思います。

2.リスクアセスメントの実施
 「環境アセスメント」という言葉は、だいぶ有名になってるようですが、「リスクアセスメント」という言葉は日本の社会にどの程度浸透しているのでしょうか。大規模な建造物を作る、環境アセスメントの実施が求められているのは、一度失われた環境を戻すことは大変(時として不可能)なためです。リスクアセスメントは、ある製品を世に出す時、製品のもつリスクが大きすぎないか、事前にチェックすることです。リスクが大きすぎ重大事故が起き死亡事故が起こったら、人命は帰ってきません。リスクアセスメントは、まずはメーカーが実施することが求められます。一方、ユーザーも改めてリスクアセスメントを実施し、残留リスクの適切性を判断することが求められます。メーカーは全てのユーザーの状況を想定できないので、ユーザーも主体的にリスクアセスメントを実施し、安全の判断をすることが求められます。ユーザーである会社によるリスクアセスメントは、労働安全衛生法第28条の2で「危険性・有害性等の調査及び必要な措置の実施」として努力義務として規定されています。努力義務ですから、リスクアセスメントを実施しなくても直ちに法律違反とはなりませんが、努力の義務が求められるわけですから、どのような努力を会社がしたのか、慎重な判断が求められます。リスクアセスメントの実施は、メーカーに対しては経済産業省が、ユーザーに対しては厚生労働省が始動することになり、例えば下記のURLで資料を見る事ができます。
http://www.meti.go.jp/product_safety/recall/risk_assessment.pdf
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei14/

他にも色々書きたいことがあるのですが、所用がたまっているので、また、近々書きます。

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